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くしゃみをする女性

季節の変わり目になると、気温の変化に付いていけず体調を崩しがちです。
特に、免疫力・抵抗力の下がる冬シーズンは風邪やインフルエンザが猛威を振るいます。
両者とも、咳や熱、鼻水や頭痛・胃炎など症状は似通っているものの、脳症など命に関わる重篤な合併症へと発展する可能性のある、インフルエンザには特に注意が必要です。
ここでは、インフルエンザの初期症状の特徴やウイルスの潜伏期間、風邪との違いや合併症の種類を学んでいざという時に役立てましょう。

インフルエンザの初期症状

インフルエンザウイルスは変異することで亜種を生む特殊なウイルスですが、大きく知られる3種類のうち最も感染する可能性の高いのがA型です。
そこで、ここでは主にA型に感染した際に見られる初期症状に関して取り扱っていきます。

インフルエンザA型は、ウイルスに感染したあと自覚症状がないまま突然発症します。
風邪の場合は悪寒や鼻水・咳、頭痛や嘔吐感・微熱といった、感染したことを知らせる前駆症状があります。
しかしインフルエンザの場合は、いきなり38度以上の高熱が出ます。
同時に頭痛や嘔吐感、全身にわたる関節痛や倦怠感、激しい咳などの症状も見られます。

具体的な初期症状としては、38度以上の突然の高熱や、全身の悪寒、強い倦怠感が挙げられます。
呼吸器系統にも障害が見られ、激しい咳とともに痰がからみ、重い場合は呼吸困難に陥ります。
消化器官への影響としては、下痢や腹痛・嘔吐感、それらに伴い食欲不振も起こります。
A型以外に感染した場合、そこまでの高熱は出ません。
しかし、その他の強い症状自体はA型とほぼ同じものが現れます。

これら激しい初期症状を自覚したら、一刻も早く医療機関に訪れて診察を受けるようにしましょう。
症状が出始めてから48時間以内であれば、早期に快方へと向かう有効な治療法があるからです。
症状が長引けば、呼吸器官や消化器官へのダメージが著しいばかりか、後述する合併症へと発展し生命の危機に晒される恐れもあります。

感染経路は風邪と共通しており、くしゃみや咳などによる飛沫感染です。
そのため周囲への感染を防ぐために、激しい咳が出始めた初期症状の段階でマスクをしたり、医療機関に行った後自室で安静にするなどの対処が必要となります。

インフルエンザの潜伏期間は?

インフルエンザウイルスの潜伏期間は、およそ1~2日という短い期間です。
ウイルスに感染してから発症するまで24~48時間というわずかな時間しかありません。
さらに、インフルエンザウイルスは発症する1日前から感染力を持っているため、感染した瞬間から感染力を持っていることになります。

潜伏期間が短い理由は、インフルエンザウイルスの異常なまでの繁殖スピードにあります。
風邪菌のライノウイルスやRSウイルスなど足下にも及ばないほどで、およそ8時間で約100倍の数に増殖すると言われています。
一体の侵入を許し、免疫力が落ちていて殺菌できなかった場合、24時間後には約100万個に達します。

この後さらにインフルエンザウイルスが増殖を続けてその数が数千万にものぼる状態になると、先述の初期症状が出始めます。
ちなみに、発症後3日目以降はウイルスが減少傾向へと転じていくとされています。
医療機関で診察を受ける期間が、発症後12時間から48時間程度が理想とされているのはこのためです。

このように、感染から発症までの潜伏期間が非常に短いこと、感染を明確に感じる機会がないまま発症へと転じること、そして発症前から既に強大な感染力を持っていることから、感染拡大の抑止が困難であることが分かります。
また、発症後一週間後まで感染力は持続するという恐ろしさも忘れてはいけません。
感染経路も飛沫感染・接触感染という極めて危険な性質であるため、学校保健安全法により発症を確認したら登校を停止するよう定められています。

予防接種を受けると、感染することはあっても発熱が38度にまで達しないなど比較的症状が軽くなる可能性が高くなります。
ただし、典型症状が表出しないだけで当然ながら感染していれば潜伏期間中や発症中の高い感染力は健在のため、通常通り周囲に感染させてしまう危険性は高いです。

風邪との違いは?

風邪との違いとして、潜伏期間の短さが挙げられます。
風邪は感染から発症まで5~6日間の猶予があります。
この約5日間にくしゃみや鼻水・鼻詰まり、喉のいがらっぽさといった粘膜の異常がゆるやかに表出されます。
鼻水ひとつとっても、サラサラとした水のような状態から徐々に粘り気のある粘液性へと移行していきます。
発熱も微熱程度で、頭痛や全身倦怠感など全身症状も軽めであるため、気付きやすく対処しやすいです。
反対に、インフルエンザはこれらの期間が短く、初期症状の段階でいずれの症状も急速に発展します。

症状の内容も、発熱に関しては風邪は微熱~38度程度であるのに対し、インフルエンザの場合は最低でも38~40度の高熱が出ます。
倦怠感や筋肉痛・関節痛といった症状は両者ともありますが、インフルエンザの方がより強いです。
悪寒や頭痛・胃炎、筋肉痛・関節痛などの症状も風邪に比べ、重度な症状が出ます。

また、鼻水が頻繁に出る時期も異なります。
風邪は初期によく出ますが、インフルエンザの場合は後期に多く出ます。
完治するタイミングは風邪の場合早ければ3日ほどで良くなりますが、インフルエンザは最低でも1週間はかかります。

感染をもたらすウイルスの性質も異なります。
ライノウイルスやRSウイルスといった風邪の原因菌は毎年ほとんど変わりませんが、インフルエンザウイルスは毎年変異を遂げています。
毎年ウイルスの種類が変わるものの、症状自体は大きく変わることはありません。

さらに、治療法すなわちウイルスへの対処法も変わります。
インフルエンザウイルスがもたらす症状はそのどれもが身体への負担が大きいため、各症状を和らげる対症療法とウイルスを殺菌する原因療法の2つが実践されます。
一方、風邪の場合は症状が軽く、ウイルスの種類自体も非常に多いため、ひとつひとつ分析するよりも、人間の免疫力を上げて自然治癒能力を高めるといった治療法が主体です。

インフルエンザの合併症にご注意!

インフルエンザの恐ろしさは、死亡例の大多数を占める合併症へと発展する点です。
特に、妊婦・5歳以下の子どもや65歳以上の高齢者といった、合併症を起こしやすい「ハイリスク群」に属する場合、注意が必要です。
喘息など慢性肺疾患や心疾患、腎臓・肝臓・血液に関しての疾患を持った方もこれに含まれます。

合併症の中でも、死亡原因の9割以上となっているのが肺炎です。
発症してから3日以内に症状が現れる「インフルエンザ肺炎」と、他の細菌感染によって発症する「二次性細菌性肺炎」の二種類に分かれます。
インフルエンザ肺炎の特徴は、インフルエンザ発症から4~5日過ぎても高熱がおさまらず、呼吸困難・チアノーゼや、血の混じった痰が出ます。
一方、二次性細菌性肺炎はインフルエンザの症状が治まったあとに現れ、発熱と咳、膿のような痰などが見られます。
悪寒や咳・呼吸困難、多呼吸・頻脈など酷い症状が特徴です。

1歳から6歳にかけての乳幼児期に発展することの多い合併症に、「インフルエンザ脳症・脳炎」があります。
医学の進歩と認知により発症後の死亡率が約30%から8%程度にまで下げることに成功しましたが、完治した後に25%の確率で後遺症が見られるため、非常に危険であることに変わりありません。
インフルエンザによる高熱から数時間~1日のうちに神経症状が現れ、意識障害や異常行動、痙攣へと発展します。
そこから、嘔吐や血液凝固障害、他臓器不全なども見られるようになります。

急性脳症の一種に「ライ症候群」があります。
嘔吐や意識障害、痙攣・高熱などの症状が見られます。
こちらも子どもに多く、成人の発症はまれです。
原因は判明していませんが、アスピリンに代表されるサリチル酸系の解熱剤の服用が引き起こす例が報告されています。

この他の合併症として、乾いた咳が多くなる気管支炎や、子どもに多く見られる中耳炎、腕や足の筋肉のだるさが重症化して歩行困難になるウイルス性筋炎、鼻水や頭痛・顔面痛から中耳炎へと発展しやすい副鼻腔炎などが挙げられます。
いずれも放置すると後遺症が出る確率が高くなるため、早めに受診しましょう。

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